4月からNHKのラジオ講座を始めた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私は今回は「英語で読む村上春樹」を始めてみました。興味を持っていただいた方が5月からでも始められるように、3回終わった段階ですが内容をご紹介していきたいと思います。(毎月4週目はゲストを招いて村上作品の魅力を語るという1〜3回めとは少し違うスタイルのようです。)
講座の内容
この講座は村上春樹さんの短編作品である“The Elephant Vanishes”(象の消滅)を4月から9月まで、“Super-Frog Saves Tokyo”(かえるくん、東京を救う)を10月から3月まで、それぞれ半年かけて英語と日本語で読み進めていくというものです。
英語と日本語の発想の違いや、文化的な違いによる翻訳の際の内容の変化などを考察していきます。
ラジオ第2で毎週日曜日の午後10:50〜11:20(再放送が次週土曜の午後0:10〜0:40)週1回30分の放送です。
講師は沼野充義先生と、マシュー・チョジックさんです。このマシューさんは、ハーバード大学大学院で村上春樹の研究をしている際に、村上作品を何作も翻訳しているジェイ・ルービンさんに直接指導も受けていたそうです。
進め方
まず、その日の範囲の文章が英語で朗読されます。
その後、4つの部分にパート分けして、日本語、英語と朗読されます。(英語、日本語ともにプロの方が朗読しています。)
その後に講師による解説があります。
語学的、文化的な面でどのようなことを考慮してこのように英訳されたのか…などを考えていきます。
日本語ではもう少し読み進めないと明らかにならないことを、英語では先に明らかにしてしまっている部分についての説明や、日本語独特の言い回しは英語では不自然になっていないか、外来語などで日本独自の意味になってしまっているものの訳はどうするか…等、大変興味深いです。
テキストには見開き左側に英文、右側にwords&phrasesがあり、語句などの解説があります。
英文の次のページには同じパートの日本語の原文が左側に、comparison&focusが右側にあり、前のページよりも詳しい文法解説や日英の文章の比較が書かれています。
このような構成なので、テキストだけ読んでいても楽しめます。
感想
このように英語でも日本語でも村上作品を読んでいくとは知らずに、ただなんとなく面白そうというだけで始めてみましたが、思った以上に面白かったです。日本語の朗読を聞いてから英文の朗読を聞くので、「あれ?さっきの原文と違うな…。」と気付き、解説が楽しみでした。
翻訳に興味がある方はもちろんですが、そうでなくても、日本人でなければイメージしづらいものを上手く伝える工夫などを知ることは面白く感じられるのではないかと思います。
このThe Wind-Up Bird Chronicleは、日本語では3冊だったものが英語版では1冊になってしまったというエピソードが講座中に紹介されていました。