アメリカには、Common Core State Standardsという、英語と数学に関する共通教育カリキュラムがあります。州ごとに細かな違いはあるようですが、幼稚園から高校最終学年に至るまで、習得すべきポイントが示されています。カリフォルニア州では、両親向けに共通教育カリキュラムハンドブックが作成されており、17の言語に訳されています。この共通カリキュラムに書かれている、各学年で習得すべきライティングのポイントが、英検1級ライティング対策で気をつけるべき点としても有効なのではないかと思いましたので、一部抜粋してここで紹介させて頂きます。日本語版へのリンクはコチラです。
1年生のライティング目標
- 意見を含む意見文を書き、その意見の理由を書く。
- トピックに名前をつけ、事実を添え、結論をつけた情報文を書く。
- 正しい順で 2 つ以上の出来事を詳細を含めて物語的に書く。
2年生のライティング目標
• 意見と理由をつなぐ、つなぎの言葉を使って意見文を書く。
Because, and, also
• トピック、事実、定義、および結論を提供する情報的な文を書く。
• 行動、考え、感情を含む物語の一部を記述するための詳細を含んで書く。• 開発し、焦点を当て、組織化されたライティングを作る。
• 拡張された時間枠や短い時間枠で日常的にものを書く。
3年生のライティング目標
- チャートやグラフを含む意見文を書き、その意見をサポートする理由を箇条書きにする。
- トピックの名をつけた情報文を書き、事実を添え、接続語や接続句を用いる。
4年生のライティング目標
- 意見に関連した結論を含む意見文を書く。
- 関連するアイデアを段落やセクションにグループ化する情報文を書き、結論を提供する。
- ナレーターや人物を紹介した物語を書いて、人物が言い、感じ、考えることについて書く。
5年生のライティング目標
- 視点、理由、情報を支える意見文を書く。
- アイデアを共有し支える情報文章を書く。
- 関連記述の詳細や出来事の明確な順を使用して物語を書く。
- 明瞭かつ目的を持って書く;聴衆を念頭に置いて保つ。
6年生のライティング目標
- 明確な理由と関連性のある証拠によって主張をサポートする要旨を書く。
- トピックを調べアイデアを伝える情報的な文章を書く。
- 関連する記述的な詳細やよく構造化された出来事の順を含む物語を書く。
- 短い研究プロジェクトを実施し、必要に応じて再び調査に焦点を当てる。
各学年を通じて学ぶこと
自分の意見を述べたら理由を添えること、結論を提供すること、を1年生の時から訓練されているようです。学年が上がるにつれ、意見をサポートする明確な主張の述べ方や、トピックセンテンスをあげ、そこから自分のアイデアや情報を展開していく方法に発展しています。また、リーディングで気をつけるべきこととして、”文中の事実、意見、理論による判断、憶測を区別する”という項目がありました。ライティングでも、自分の意見と事実を混同せず、区別して書くことを要求されます。
共通カリキュラムを読んで気づいたこと
今から7−8年前の事になりますが、英検1級取得を目指し、イギリス人女性にエッセイを添削してもらっていました。この時よく注意されたのが、「自分の意見と事実を混ぜて書かないこと」。これまで受けた教育の中で、このような注意を受けたことがなかったので、最初は意味が分かりませんでした。「〇〇は××である。」という、第三者にも検証可能な事実と、「〜と思う。」「〜のようである。」「〜と思われる」という自分の意見や推測を分けて書く必要があるという事を知らなかったのです。
上記のライティングカリキュラムを読むと、小学1年生で習うようなライティングの基礎を、英検1級目指した時に初めて知ったということが分かります。ライティング教本を読むことで、英文ライティングの型について学びましたが、こちらのライティングカリキュラムを読むことで、さらにどのような事に気をつけるべきかということが分かりました。
今回は6年生までのライティング項目を抜粋して紹介しましたが、日本語に訳されたハンドブックには、幼稚園〜8年生までのリーディング、ライティング、スピーキング、リスニング、文法項目などが掲載されています。英語学習者にとって、面白い気付きがあるのではないかと思います。