On Writing Well は、1976年の発売以来、100万部以上を売り上げたライティング教本です。ノンフィクションを書く時の心得が、作者の信条とともに綴られていますので、リーディングの練習も兼ねて読むとよさそうです。
ライティング上達のうえで大事なことは、スケジュールを決めて毎日書くことのようです。ライティングは書くことでしか学べず、ある程度まとまった量を定期的に書くことを勧めています。繰り返し強調されているのは、簡潔を心がけること。自分を賢く見せようとして、難しい文章を書くのは良くないことで、読み手に分かりやすいよう、無駄を省いたシンプルな文章を書くべきだそうです。これは、英語学習者にとっては心強いアドバイスだと思います。文章の格を上げるために、難しい言い回しを散りばめる必要はないのです。
実際のライティングに関するルールが書かれているのは、10章の”Bits & Pieces” の部分です。ここで紹介されているルールの一部を紹介します。
・能動態を使うこと。受動態はなるべく使わない。
・正確な動詞を使うこと。例えば、stepped down ではなく、辞めたのか (resign)、退職したのか (retire)、解雇されたのか (fired) が分かる単語を選択するべき。
・ほとんどの副詞は必要ない。
・ほとんどの形容詞も必要ではない。本当に必要かどうかよく吟味すること。
・a little, kind of, quite, very, too, pretty much, in a sense などは使わないこと。
・句読点のルールをマスターすること
・ but, yet, instead, thus, therefore, など、文章に変化を表す単語の使い方を学ぶこと。
・I’d, he’d, we’d などの短縮形は使わないこと。
・that とwhich の使い分けについて。
・概念名詞を避けること。
・名詞を連ねた単語を使わないこと。例えば、rain のことをprecipitation activity などというのは良くない。
・事実を誇張しないこと。
・パラグラフは短く。
・何度も推敲すること。
などです。ライティングのルールがまとめて書かれているのはこの章のみですが、この本の文章や、作者が良い文章の見本として抜粋した記事も参考になります。
この本では、ライティングの一般的な心構えの他、各論ではサイエンス記事、スポーツ記事の書き方、職場でのライティングなど、様々なタイプのライティングについて書かれています。ほとんどの英語学習者にとって、英作文はノンフィクションライティングでしょうから、自分の目的にあった項目があるのではないかと思います。
On Writing Wellは、ライティングのプロが書いたライティング教本ですので、書かれている文章全てが参考になりますが、もしライティングのDos and dont’s だけを知りたいなら、The Elements of Style や、Painless Writing などの参考書がお勧めです。