英検では英作文の配点が大きく、準一級では14点、1級では28点となっています。また、英語ライティングは英語資格試験に限らず、英語を使って仕事をする際は、レポート作成や emailでのやり取りなど重要な役割を果たします。英作文が上手になるためには、まずはたくさん書いて練習することが大事だと思います。そうは言っても何を書いていいか分からないし、時間もかかる。ついつい後回しに・・というパターンになりがちなのではないでしょうか。How to Write a Lot: A Practical Guide to Productive Academic Writingは、とにかくたくさん書くためのコツを紹介した本です。大学院生や大学教員を対象にした本ですが、英語学習者にも参考になる点がありますので紹介したいと思います。
なぜ書けないのか
How to Write a Lot では、よくある”書けない言い訳”が挙げられています。
・書きたいけれども時間がない
・書く前にいろいろと調べなければ書けない。調べ物だけで手一杯で実際には書いていない。
・新しいパソコンがあったら書くんだけど。(プリンターがあったら。もうちょっと良い机とイスがあったら・・)
・書く気が起きない。インスピレーションが欲しい。
お馴染みの言い訳が並んでいますね。”時間がない”、は単なる言い訳にすぎません。時間はみつけるものではなく、自分で捻出するものです。 作者は、ライティングには持って生まれた才能や特殊な能力は要らない、と書いています。ほとんどの人は、ベストセラー小説や”全世界が泣いた!”系の文章を書く必要はなく、学校や仕事のレポート、大学での論文など実用的な文章が書ければ十分なのですから、あまり構えずに淡々と書く練習することが大事です。
たくさん書くためのコツ
たくさん書くためにはどうすればよいのでしょうか。一番大事なことは、書くための時間をあらかじめ確保し、スケジュールに従って書くことだそうです。時間があったら書く、書く気になったら書くというのでは、いつまでたっても時間は確保できません。試験のために勉強している英語学習者であれば、”ライティング強化月間”などと期間を決めて取り組むのもよいと思います。心理学者である著者は、書くことが仕事の一部でもあるので、平日の午前中を必ずライティングの時間として確保し、気分が乗ろうが乗るまいが必ず机に向かって書く作業を行なっているそうです。
また、ライティングの目標を立て、進捗具合をモニターすることも大事だそうです。「本で読んだ内容について書く」、「仕事内容を英語で説明してみる」、「英検ライティングトピックを1ヶ月で20個書く」など具体的な内容を目標にしたり、「1ヶ月で5000単語書く」と数値的な目標を立てるとよいと思います。進捗具合をモニターするには、表計算ソフトを使ったスプレッドシートが紹介されていますが、手帳に記録したり、以前こちらのブログで紹介した、WordOne – RookSoft アプリや、Daytum を利用するなど色々方法があると思います。やった/やらないを可視化すると効果的なようです。
著者がこの本で繰り返し述べているのは、とにかく書く時間をあらかじめ確保してスケジュールに従って書くこと。スケジュールを確保してしまえば、書く時間がないと悩む時間をライティングにあてられますし、毎日少しずつでもライティングプロジェクトを進めることが更なるモチベーションに繋がります。英語ライティングは一朝一夕には身につきませんので、ある程度まとまった時間をかけて練習する必要があるのではないでしょうか。
How to Write a Lot は、大学院生や教員がストレスなく論文やグラント申請を書くための方法論を紹介しています。あくまでも”たくさん書くためのコツ”であって、”より良く書くためのコツ”の本ではありません。まずは書かないことにはより良く書くことは出来ませんので、書くことが苦手な人が苦手意識と関係なく書く習慣を身につけるために読むといいと思います。1章〜3章まではアカデミックライティングだけではなく、一般的な書くためのコツが紹介されています。4章以降は論文を書くことを前提に書かれていますので、英語学習者は前半だけでも参考にするとよいのではないでしょうか。