洋書を読む楽しさを感じる本 「寝ても覚めても本の虫」


児玉清さんというと「あたっくちゃぁぁぁんす!」とクイズ番組での一コマが一番に浮かんで来る方が多いと思いますが、実は児玉さんは大変読書好きな方です。

書評の番組の進行を務めたり、本の解説文を書いたり、エッセーや書評の連載をされていましたが、今回はその書評をまとた作品「寝ても覚めても本の虫」をご紹介します。


寝ても覚めても本の虫

児玉さんは国内外問わず大変多くの作品を読んでおられましたが、とりわけ海外ミステリーがお好きだったようで、こちらの本の紹介にも「児玉さんの海外面白本探求の日々を一気に公開」と書かれています。

著者は最初は翻訳されたものを読んでいたものの、すでに翻訳された作品を読み尽くして原作に追いついてしまったので原書で読むようになったとのことです。
最初はご自身の英語力を心配しながら読み始めたものの、とにかく読みたいという気持ちが強かったせいか割とスラスラ読めてしまったためにのめり込んでしまったそうです。
これが20年ほど前の話ということなので、今のように簡単にインターネットで情報を仕入れたり、クリックひとつで注文することはできない時代です。海外の雑誌などでベストセラーを探し、海外へ行く度にカバンいっぱいにハードカバーを買い込んで読みまくっていたのですから、ものすごい情熱が伝わってきますよね。

児玉さんは原書で読んでいるので、ほとんど紹介されている作品の原題が分かります。(現代で紹介され、邦題がカッコ書きで書かれているパターンが多いです。)
書評も上品に公平な視点で書かれており、語り口も軽妙で読んでいて心地良いです。何年の何号からという細かい引用ではありませんが、TimeやNYT、Economistで取り上げられていたトピックを盛り込みながら書いてあるエピソードもいくつかあり、氏の情報収集の範囲も伺えますし、とにかく本が好きで好きで仕方ないということがこれでもかというほど伝わってきます。

好きな作家の本は寝転んで読むと決めている児玉さんが、ケン・フォレットの1000ページ近くの作品である「大聖堂」を寝る間も惜しんで寝ながら読んだものの、あまりの重さに読了後に疲労困憊したエピソードや、映画Sayuriの原作を読んですっかり騙されたエピソードなど、終始ニヤニヤ楽しい気分で読めます。
文庫化の際に加えられた第Ⅳ章では実際に児玉さんの印象に残った英文も挿入されていたりします。

今まであまり興味がなかったような作品も思わず読んでしまいたくなって数冊購入してしまいました。著者の声を知っているので、直接児玉さんの声で本を勧められている気分になってしまうのです。

児玉さんは切り絵もかなりお上手なのですが、この本には数点の挿絵もあります。これがまた味わい深いのでぜひ手にとってご覧になって下さい。

日本語の書籍ですが、原作での読書の楽しみがこれでもかというほど伝わってきます。
最後に児玉さんが原作で読む時に感じることを書いていらっしゃる箇所を引用します。
これは、洋書で読書を楽しんでいる多くの方が共感されるのではないでしょうか。

黙読しているときに、さっと頭に浮かぶ解釈とフィーリングには、えもいわれぬ味わいがあり、しばしその感覚に恍惚となってしまう。この至福を誰かと共有したいと懸命に日本語にしてみるのだが、想像力と才能に欠けているせいか、訳してみたとたんに、原文の光彩が消えてしまうような気がする。これはいったいどうしたわけなのだろう。これまで何度かそういう経験をしてからは、ひとりで密かにこの感覚を愉しむことになってしまっているのだが、本当にそれはもうぞくぞくするような愉しさなのだ。

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