日本の伝統的英語勉強法である「難しく少し」に対して、「やさしくたくさん」は、やさしい英語をたくさん(あるいは繰り返し)聞いたり読んだりすることからスタートする学習法です。英語は「やさしく、たくさん」―中学レベルから始める「英語脳」の育て方 (講談社パワー・イングリッシュ) は、著者がジャパンタイムズ社で新人記者を特訓する際に用いた手法が紹介されています。
やさしくたくさんとは?
「やさしくたくさん」とは、超やさしい英語をたくさん(あるいは繰り返し)聞いたり読んだり(話したり書いたり)し、だんだんレベルを上げていく方法であると定義されています。やさしい英語にたくさん触れることで、
1. 基礎を復習しつつ進むことになるため英語力に背骨が通る
2. やさしい英語ならば訳さずに理解でき、英語を英語のまま理解する理想的な姿勢になる。
3. やさしいから英語に接した量が飛躍的に増える。
ということです。
従来の、「難しく少し」という学習法は、英語「そのもの」は勉強しておらず、英語「について」勉強しただけです、という部分を読むと、確かに詳細に書かれた説明文を日本語で読む方法では、たくさんの英語に触れるのは難しいということが理解できます。
英語学習で大切な姿勢とは?
伸びる人と伸びない人は、英語に接する姿勢が違うそうです。重要なのは、
1. 英語を英語のまま理解する基本姿勢
2. 英語の音やリズムを、そのまま受け入れようとする姿勢
3. 英単語を、訳語ではなく「単語が意味している実体そのもの」として理解する姿勢
4. 単語の意味を、文中から自分でつかもうとする姿勢
5. 覚えるまで繰り返し学習するか、あるいは大量に接する姿勢
と説明されています。言うは易く行なうは難し、と思われるかもしれません。この本では、どうしたらこれらの姿勢を身につけることが出来るのか、筆者自身の経験と、ジャパンタイムズ記者を指導してきた経験を元に詳細に説明されています。時間をかけて勉強しているのに、なかなか実力が伸びないと感じているならば、この本を読んで”英語を英語のままで理解する’ことがどういうことなのかを学ぶといいのではないかと思います。
私の知り合いで、海外での交換留学と3年ほどの海外勤務を経験し、英検1級も取得されている方がいらっしゃいます。その方が洋書や洋雑誌を読めないと聞いて驚いたことがあります。短い記事を読んで問題を解くことは出来るし、基本的なコミュニケーションも取れるのですが、海外にいたからといって自然に長い文章が読めるようになるとは限らないようです。英検1級取得者でも、洋書を読みきったことがない、洋雑誌は読めない、という方がいらっしゃいます。本が読めるかどうかが重要なのではありません。たくさん読むことが出来るということは、そのぶん多くの情報を得られる可能性がある、ということだと思うのです。「難しく、少し」を長年続けていれば、自然にやさしい文章が多量に読めるようになるわけではないようです。この本では、「やさしくたくさん」の基本概念をわかりやすく説明されていますので、多読を始めるにあたって一読されると良いのではないでしょうか。
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